予防接種健康被害救済制度Q&Aの追補その22
-予防接種健康被害救済制度の不支給決定に対する審査請求の認容事例の情報-

Q 予防接種健康被害救済制度の請求をしましたが不支給決定に終わりました。
審査請求を考えていますが、認められた事例はあるのでしょうか?

A 予防接種健康被害救済制度の不支給決定に対する審査請求の状況は、情報が断片化していて、全体像を把握しづらいのが現状です。
私も同様ですが、分かる範囲の情報を書いておこうと思います。

予防接種健康被害救済制度の不支給決定に対する審査請求の認容事例、つまり不支給決定を取り消した事例はいくつかあります。
一部は総務省の行政不服審査裁決・答申検索データベースに登載されています。
登載されていないものについては、審査庁である都道府県に行政文書開示請求をすることができます。審査庁・裁決日・担当部署など、文書を特定する情報が必要になりますので、参考情報を記載しておきます。

本記事では裁決書本文は掲示しませんが、判断の要点となる違法事由・処分取消事由をいくつかに分類して、その番号を「判断の要点」として記載しています。

【違法事由・処分取消事由の分類】
  1. 調査審議・判断過程において重要な事項の検討を欠く等の過誤・欠落
  2. 厚生労働大臣の判定の誤り
  3. 行政手続法8条の処分理由の提示の不備
  4. その他(括弧書内で注記)
【都道府県知事の裁決】
    ・大阪府知事令和7年8月4日裁決
  • 判断の要点:1、3
  • 入手方法:大阪府に対する行政文書開示請求(参考情報……審査請求日:令和6年5月17日、担当部署:医療・感染症対策課)
    ・奈良県知事令和7年12月3日裁決
  • 判断の要点:2
  • 入手方法:確認中
【行政不服審査会の答申】
(※裁決に重要な影響を及ぼす第三者的な専門家の意見ですが、裁決そのものではありません)
  • ・埼玉県行政不服審査会令和4年11月8日答申
  • 判断の要点:4(処分通知に、いかなる請求に対してどのような処分を行ったのかの直接の記載がなく、処分の内容が明確であるとは言えず、本件処分が行われたことを了知し得るものであるとはいえない。予防接種法施行規則第11条の25に違反する不当な処分と言わざるを得ない。)
  • 入手方法:総務省の行政不服審査裁決・答申検索データベース。下記リンクを参照
  • https://fufukudb.search.soumu.go.jp/koukai/Main?vc=&sc=select&J007=&toshinId=7253
【補足】
  • 行政不服審査法第85条(公表)
    不服申立てにつき裁決等をする権限を有する行政庁は、当該行政庁がした裁決等の内容その他当該行政庁における不服申立ての処理状況について公表するよう努めなければならない。
  • 都道府県のオンラインによる行政文書開示請求の対応状況
    大阪府、奈良県は、行政文書開示請求のオンライン化に対応しており、請求・開示書類の受領ともオンラインで可能です。
    手続がオンラインで完結する場合、開示手数料は数百円以内で収まる可能性があります。
  • 上掲以外にも、新型コロナワクチン以前のワクチンの事例で審査請求が認容された事例があると考えられます。
    審査請求で不支給決定が取り消された事例は、「疾病・障害認定審査会 感染症・予防接種審査分科会予防接種健康被害再審査部会」の審議にかかります。
    この再審査部会の審議結果を見る限り、審査請求で覆った事例は新型コロナワクチン以前にも複数ありそうに思えます。 情報があれば、随時追加していこうと思います。
    疾病・障害認定審査会(感染症・予防接種審査分科会予防接種健康被害再審査部会)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-shippei_127698.html
    あわせて、これまで情報提供いただいた皆様にお礼を申し上げます。

本記事が好転のきっかけになりましたら幸いです。

弁護士 圷悠樹