予防接種健康被害救済制度に関するご相談について

予防接種健康被害救済制度について、当事務所の提供できるサービスメニューを整理いたしました。
健康被害当事者の方の参考になりましたら幸いです。

概要

予防接種健康被害救済制度の申請に対する認定率は、徐々に下がってきていますが、全体では7割程度の認定率となっています。
また、多くが医療費・医療手当の請求であることからも、全てのケースで申請に弁護士の関与が必要というわけではありません。

一方で、類型的に認定率が低い障害年金・障害児養育年金のケースや、因果関係・生計同一性などが争点になるケース、不支給決定に対する審査請求や取消訴訟など、弁護士の関与の必要性が高い場面もあります。
法律相談を上手くご活用いただき、依頼の要否をご判断ください。

医療費・医療手当の類型

類型として認定率が比較的高い一方、給付水準と弁護士費用を比較すると、多くの場合弁護士費用の方が給付額を上回る可能性が高いと思われます。
法律相談を上手くご活用いただき、疑問点があれば弁護士に相談しながら、申請の準備をなされてみることを、まずはご提案いたします。

資料収集が難航している、後に障害類型の請求も想定されるなど、弁護士の関与をご希望なさる事情がございましたら、お申し出下さい。

障害年金・障害児養育年金の類型

弁護士の支援の必要性が高い類型と考えられます。
現状、類型別の否認率が顕著に高く、もっとも難易度が高い類型といわざるを得ません。

本質的に、補償の対象となる障害の範囲が狭すぎる問題があります。
予防接種健康被害救済制度の障害等級表は、成人の場合:国民年金・厚生年金保険(障害年金)、子どもの場合:特別児童扶養手当、の障害等級表を原型にしているとされます。
かつ、そのことに広報でほぼ触れられておらず、健康被害当事者の皆様の「後遺症」の感覚とギャップがあるのではないかと思います。

制度上、障害等級表はありますが、予防接種健康被害救済制度の独自の障害認定基準・認定要領等が作成されていません。
他制度のもの(国民年金・厚生年金保険や特別児童扶養手当の障害認定基準等)を参照する必要があります。
一方で、障害認定にある程度の柔軟性があり得る、という見方もできます。

難易度が高い類型ですが、それゆえ弁護士の支援の必要性が高い類型といえます。

死亡一時金・葬祭料の類型

人の生死に関することで多くを語りたくはありません。
もし依頼のご希望をいただいたときは、誠心誠意対応いたします。

資料収集、病院や行政側担当者との面談への同行

各類型の請求準備において、準備の労力や、関係先とのコミュニケーションの精神的負担など、無形のコストがあるかもしれません。
弁護士が代理人として診療記録等の資料を収集したり、関係先である医師や行政側担当者との連絡、面談への同行などの支援も可能です。

審査請求の代理人活動

申請したが不支給決定となり、これに対して争う場合、審査請求を活用することをおすすめします。
いくつかの理由がありますが、法的な観点からは、審査請求は処分の違法性または不当性のどちらでも争うことができるのに対し、取消訴訟は処分の違法性で争わなければならないからです。

最頻争点である因果関係について、審査を担当する疾病・障害認定審査会は「厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とする」との「方針」「考え方」で審査している、としています。
これは、訴訟でいう「証明度」の軽減と考えられますが、行政側への羈束効のある「処分基準」にあたるか不明確なため、これを援用するには、処分の不当性でも争える審査請求の方が適しています。

因果関係が争点となる場合、審査請求の段階でも、医学分野の専門家の方の意見が決定的に重要です。
その際、単純な意見陳述ではなく、後述の白木四原則に依拠して、専門家の方に意見の根拠を提示してもらうことが必要です。

注意を要するのは、疾病・障害認定審査会の認定判断も、医学分野の専門家の判断である、ということです。
そのため、審査庁である都道府県が、疾病・障害認定審査会の認定判断に引きずられ、違法かどうかのみを検討し当不当の検討に立ち入らないおそれがあります。
しかし、これでは、異なる専門家の判断を対置してどちらが妥当かを問うことは困難となり、審査請求は空洞化してしまいます。

弁護士が審査請求の代理人として活動する意義の1つは、審査請求の特徴である、処分の当不当でも争えることを活用することです。
不支給決定の根拠となった疾病・障害認定審査会の認定判断の当不当を争点とし、そのために協力医や審査庁を通じた鑑定医の意見の検討を求めていくことができます。

審査請求をすることができる期間は、原則として、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月です。

取消訴訟の代理人活動

訴訟手続は弁護士の中核的な守備範囲ですが、取消訴訟は処分の違法性のレベルで争う必要があります。

多くの場合、因果関係が争点でしょう。
そのため、診療記録等による事実関係の立証に加えて、医学的な専門家の方の意見と、因果関係の認定の考え方との、両方のレベルでの検討が必要です。

取消訴訟の場合、処分の違法性で争う必要があり、いわゆる白木四原則に依拠して、正面から因果関係の認定の誤りを主張することになります。
医学的な専門家の方の意見は重要ですが、単純な意見陳述ではなく、白木四原則に依拠して意見の根拠を提示してもらうことが重要です。

過去の予防接種課訴訟を通じて多くの先達の蓄積があり、この場面での因果関係の古典的な考え方とされているのが、白木四原則です。
これは原則論としては疾病・障害認定審査会の審査方針にも反映されていますが、個別のケースの認定において逸脱があるかもしれません。
本来の考え方にかえり因果関係を認定しなければならない、誤った認定を根拠とする不支給決定は違法である、という姿勢が基本となるでしょう。

取消訴訟の出訴期間は、処分又は裁決があつたことを知つた日から起算して6ヶ月です。

法律相談料について

法律相談料は、以下のとおりです。
 初回1時間以内 5000円
 以降30分ごとに 5000円

弁護士の関与の必要性が不確定な初期段階では、法律相談を上手くご活用いただければと思います。

ご依頼いただく場合の弁護士費用について

原則として、個別のケースごとに法律相談を経て見積りをいたします。

医療費・医療手当の請求については、次の手数料制といたします。
 当初1年以内 20万円
 以降6ヶ月ごと 10万円
 実費は別途精算

なお、医療費・医療手当の給付水準を考えると、仮に支給決定となった場合にも弁護士費用が給付額を上回る可能性があります。

ご不明な点等がございましたら、電話・メール等でお問合せください。

弁護士 圷悠樹(神奈川県弁護士会所属)